インドネシア「東ジャワをゆく」①

 在大阪インドネシア総領事館、インドネシア政府観光局、東ジャワ州の主催、インドネシア・ガルーダ航空の協力で、9月12日から18日まで、ジャワ島の東半分を占める東ジャワ州を巡りました。この取材行に参加したのは、関西プレスクラブメンバーの産経新聞大阪本社社会部・細田裕也さん、神戸新聞編集委員・段貴則さん、共同通信大阪支社経済部・吉本信頼さんという、いずれも若手から中堅に差しかかった有能な取材記者と、ひと世代離れた当方。印象深かった訪問先を順不同、不定期で報告します。(田中 伸明)

【ブロモ山 感動の夜明け】
 火の神が住むと言い伝えられるブロモ(Bromo)山(2392㍍)。火口から白煙をはき続けるこの山をはじめとした東ジャワ州南東部の火山群は、ブロモ・トゥングル・スメル(Bromo-Tengger-Semeru)国立公園として、インドネシア国内有数の景勝地となっています。

プナンジャカン山から煙を噴くブロモ山を望む


 今回の取材行で最も心に残ったのは、その山頂から望む日の出です。
 ビューポイントは、ブロモ山を見下ろすプナンジャカン(Penanjakan)山(2770㍍)山頂の展望場所です。
 この日(9月15日)の日の出は午前5時20分でしたが、われわれは午前1時半に起床して麓のホテル(「ジワ・ジャヤ・リゾート・ブロモ」)を出発、トヨタのランドクルーザーに激しく揺られた後、午前3時すぎには早くも展望場所に着きました。他の観光客よりいち早く最前列の撮影ポイントを確保するためです。 

 

暗闇の中ランドクルーザーで出発
(写真の日付けは日本時間。現地時間は午前2時2分)

車中で眠そうなインドネシア総領事館のテディアンザ君

 気温は10度前後でしょうか、待ち時間が長い。当方もコートを羽織っていますが、だんだんと多くなってきたこの国の観光客の人たちは、さすがに寒さに慣れず、ダウンジャケットやベンチコートを着込み、ニット帽、手袋も着けた重武装が目立ちます。

展望台までの山道に並ぶ茶店

 午前5時前、ブロモ山のはるか東方に連なる山系の黒いシルエットが、オレンジ色のかすかな光で浮かびました。
日の出の先がけです。
 間もなくオレンジ色が紫色に変わり、その紫が光量を増し白っぽくなったと思った瞬間、山々の稜線と見紛うような見事な雲海が一面に出現しました。
 日の出はもうすぐです。
 さらに空の明るさが増して再びオレンジ色に変化、そのオレンジ色の中に、明るいひと塊の雲状の部分が見えてきました。
 そして、その明るい雲の下から、ついに丸い太陽の上辺が顔を出しました。
 最初は夕焼けの様な鈍い光でしたが、すぐに強い光に変わります。
 間もなく、眩しい光の球が全容を見せたかと思うと、たちまち上昇していきます。

日の出です。

 この時、プナンジャカン山頂は、「わーっ」という歓声に包まれます。いつの間にか、山頂の観覧席はぎっしりと人で埋まっていました。
 地元インドネシア国内の観光客が多いのですが、われわれ日本人や白人の観光客もいます。生涯にあまり経験しないであろう、山頂からのご来光を望んだ共通体験に、握手し合い感動の言葉を交わし、高揚しています。

日の出に歓声を上げる人たち

 取材行のお世話をしていただいたインドネシア政府観光局のソフィア・ロサリンドさんも、タブレットでジャカルタの自宅にいるご主人に、日の出の模様を伝えて遠距離で感動を分け合っていました。


 早起きをした甲斐が本当にありました。
 サンライズツアーの費用は、ランドクルーザー(乗客定員5人)を午前2時から10時まで運転手つきで借り切り、チャーター代、入山料込み日本円換算で約1万2000円。
 現地へは、東ジャワの州都スラバヤから、車をチャーターして約3時間半。

夜明けの後、雲海が展望台に迫る。右端に雲海を突き抜けるブロモ山の噴煙

 次は、ブロモ山に登ります。

 

 インドネシア・スラウェシ島で9月28日に発生した大地震の犠牲者とご家族に、深く哀悼の意をお伝えするとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、10月29日にジャワ海上空で起きた航空機事故の犠牲者と家族の方々に、お悔やみを申し上げます。こうした不幸な災害、事故によりましても、日本を含めて世界からインドネシアへの訪問や観光の足が遠ざかることがないようにとの意思も込め、この記事を掲載さていただいています。

Kami mengucapkan rasa duka dan belasungkawa yang mendalam kepada para korban dan keluarga korban gempa besar di pulau Sulawesi pada tanggal 28 September 2018. Ungkapan rasa duka juga kami sampaikan kepada para korban dan dan keluarga korban kecelakaan pesawat di perairan pulau Jawa pada tanggal 29 Oktober 2018. Kami memuat artikel ini dengan berharap peristiwa-peristiwa duka tersebut tidak mengurangi langkah para wisatawan dari Jepang dan mancanegara lainnya untuk tetap berkunjung ke Indonesia

Nobuaki Tanaka Secretary General, Kansai Press Club