インドネシア「東ジャワをゆく」②

【ブロモ山に登る 砂漠の馬】


 ブロモ山(2392㍍)を中心とした火山群は、直径約数十㌔に及ぶクレーターを構成しています。
 クレーター内には各火山から噴出した火山礫、火山灰などが永年にわたって積り、広大な砂漠となっています。

火山灰の砂漠

 プナンジャカン山で日の出を拝み、感動にひたったわれわれはランドクルーザーで下山し、この砂漠をさらに30分ほど激しく揺られて縦断、ブロモ山の麓近くに着きます。
 白煙を上げるブロモ山火口は間近か。ここから登山口までは、徒歩か、あるいは「馬」です。

馬の背からブロモ山を望む

 われわれには、選択の余地はなく、「馬」は取材行の必須として組み込まれているようでした。引率のリーダー・在大阪インドネシア総領事館領事のヌシアガ・プトリーさんは、客待ちで待機している馬飼いのおじさんたちと馬の列を指します。
 もちろん、乗馬の経験は全くありません。どれに乗るかと言われ、できるだけ馬に負担をかけないようにと、体格の立派な馬を選びました。
 それが裏目でした。馬飼いのおじさんの指導で左足をアブミにかけ、クラにまたがろうとしましたが、馬の背中が高すぎてなかなか上がれません。3度ほどこころみてようやくよじ登るようにして、右足もアブミにかけることができました。
 前途多難です。
 しかし、乗ってみると高い視点から、周囲が見渡せ、なかなか快適です。
 競走馬の様に走るわけではなく、馬の手綱は馬飼いのおじさんが引いて馬を導いてくれます。クラの前方についた持ち手を両手でしっかりと握っていれば、落ちることはありません。そのうち、アブミに入れた両足で立つようにして、中腰になれば馬の背中の揺れもそれほど伝わらず、さらに安定してきました。

砂漠を進む段記者の雄姿

馬にまたがり砂漠をゆく

馬上のヌシアガ・プトリー領事は砂を吸い込まないよう完全武装

 もしかしたら、乗馬の天才ではないか、と思った直後、悪いものを見てしまいました。
 馬で下山してきた白人の観光客が、坂道でバランスを失って落馬、運悪く下は砂地ではなかったため、肩のあたりを強打してしばらく動けない状態でした。
 目の前の出来事です。
 砂漠の平地から、火口への上り坂に入り、当方の馬くんの背も平地の時よりかなり揺れ、「ブルルツ」という鼻息とともに、息づかいも荒くなります。
 あんなことにはならないように。がんばれ。
 馬くんと自分に言い聞かせます。
 上り坂は10分ほどで終わり、ブロモ山火口への登山口に到着。ここで下馬、馬飼いのおじさんから、自分の名前を書いた紙きれを渡されます。下山の時に乗ってきた馬がわかるようにするためです。

 

火口までの登山口に馬たちが待機する

ブロモ山頂への登山口

 火口までは、稜線に築かれた275段の急な階段を上ります。
 午前8時前という早い時間にかかわらず、階段は上り下りとも人の列でぎっしり。
 最後尾に並び、辛抱強く順番待つ人が大半ですが、階段ではなく横の崖を登っていく若者もいます。吉本記者、細田記者もそのルート。当方は階段。

山頂への階段には観光客がびっしり

高地での275段はつらい。背後には砂漠が広がる

 20分あまりかかり階段を上りきり、ついにブロモ山火口に到着しました。
 ここも狭い山頂に人、人、人です。
 火の神がおわす神聖な場所感がないのでは。

山頂も人で埋め尽くされていた

 しかし、登ってきた方向に目を転じると、遠くにかすむクレーターの外輪に向かって砂丘と砂漠が広がっています。月世界にいるような景観です。

山頂から“月世界”を観る

 そして、ブロモ山火口に向きなおすと、ぽっかりと空いた地の穴から白い煙を絶えることなく吐きつづけています。
 転落防止用の柵のすぐ下。地球の不思議を想像以上に近くにながめられます。
ここに火の神がおられるのでしょうか。

白煙を吹き出すブロモ山火口


 異空間に臨場し、来た時と同じように乗馬で下山。
 よくがんばってくれた馬くんに「ありがとう」と、茶色いたてがみの首筋を撫でてあげました。
 馬たちはもともと近隣の村人たちが、山道での荷物運搬用に飼っていましたが、観光用の足として広がり、今は約500頭が稼働しているそうです。いずれも飼いならされておとなしいですが、後ろに立つのは、蹴られる恐れがあり危険。プトリーさんもこの日、被害にあいました。乗馬の費用は往復で日本円換算約1500円。

 次回は、東ジャワの総踊り「レオッグ(Reog)」です。