G20大阪サミットから 数千人の各国記者とともに過去最大の国際会議を伝える

国際メディアセンターから生放送中のABC・木原善隆氏(右)

 

朝日放送テレビ・コメンテーター(解説委員)
関西プレスクラブ企画委員
木原 善隆

 日本で開催される国際会議として過去最大規模となるG20サミット(主要20か国・地域首脳会議)が大阪で開催されるとあって、在阪放送各局は最大限の取材体制で、会議の様子や市民生活への影響などを伝えた。会場となったインテックス大阪の国際メディアセンターには、世界各国から数千人の記者が集結。特設された放送ブースからは、各局のメーンキャスターや特派員らが、会議の様子を刻一刻と伝え続けた。
 首脳会議に先立つ経済イベントで安倍首相は、自由なデータ流通の国際ルールづくりの枠組み「大阪トラック」の創設を宣言。首脳会議は2日間の討議を経て、自由貿易の原則を明記した「G20大阪首脳宣言」を採択したものの、米国の反対で「保護主義と闘う」の文言は2年連続で盛り込まれなかった。
 自由貿易を守るため発足したG20だが、その役割は曲がり角に来ている。今回、最も関心を集めたのはG20そのものよりも、この機会を利用して行われた米中首脳会談だった。激しい貿易戦争を繰り広げてきた米中首脳は、アメリカが対中関税第4弾を見送り、貿易協議を再開することで合意し、一時休戦が成立。世界がほっと胸をなで下ろした瞬間だった。
 G20閉幕の翌日、韓国に渡ったトランプ大統領は、板門店で金正恩委員長と電撃会談。G20の総括をする暇もなく、一瞬にして話題をさらってしまった。

 

 

国際都市をつくるという自信と視野を

 日本経済新聞大阪本社編集委員
前関西プレスクラブ企画委員長
堀田 昇吾

 62829日のG20サミットには37の国・地域、国際機関の首脳らが参加した。随行者やメディアなどを含め約3万人が来阪。大規模な交通規制や検問で街は厳戒ムードに包まれた。
 警察の警備は32000人と史上最大の規模。27日から30日まで阪神高速道路の10路線が通行止めになり、都心の一般道も通行自粛の要請の効果か交通量が激減。観光客の多い大阪城天守閣やあべのハルカス展望台などが一時休館になった。物流や企業活動に影響はあったが、大きな混乱はなかった。
 大阪に世界の首脳らが集まった国際会議は199511月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)以来だ。関西プレスクラブはAPEC開催を機に関西からの情報発信を強化しようと94年に設立された。それから25年。大阪は年間1000万人を超える外国人が訪れる都市になった。開催が決まった25年も含め2度の万博とG20を経験する都市は世界で他にロンドンだけという。
 大阪、関西はもっと自信を持っていい。東京一極集中にあらがうという考え方を超え、アジア、世界に開かれた国際都市をつくる視野を持ちたい。