中国、東南アジアとダイナミックな結びつきを

252回 20171128

関西経済連合会会長(住友電気工業会長)
松本 正義(まつもと まさよし)
LOOK WEST~関西発の創造戦略~」

関西経済連合会の会長になって6カ月経ったが、手を抜かずにやると、ものすごく忙しい仕事だ。朝から会議や打ち合わせがあり、また関西には2府4県あってそれぞれ個性ある知事さんともお話しするので、きょうは言葉に気をつけたいと思っている。
これからの関西をどういう指針で運営していくか、こういう言葉はおこがましいが、4つの視点を示させていただいている。①グローバリゼーション②イノベーション③地方分権・道州制④スポーツ振興―だ。
グローバリゼーションでは「ルック・ウエスト」、つまり関西の歴史や地理的メリットを考えると、中国や東南アジア諸国ともっとダイナミックに結びつく必要がある。経済団体の要望書には必ず「東京一極集中の是正」と書いてあるが、これだけのリソースを持ちながら、一極集中を直してくださいと言うのは恥ずかしいことだ。東南アジアなどとのツーウェイ(双方向)のコラボレーションが必要だ。
またイノベーションでは「産業クラスター」をつくる必要がある。「健康・医療」「環境・エネルギー」「航空機産業」「AI、IoT、ロボット」の4つで、キラリと光って付加価値を上げていくようなクラスターをつくる、その環境づくりを経済団体が進めていくべきだと考えている。
地方分権・道州制は、国のかたちを変えるところに本質がある。なかなか進まないが、ずっと前から取り組んでおり、この旗を降ろすわけにはいかない。
スポーツでは、2019年(ラグビーワールドカップ)、20年(東京オリンピック・パラリンピック)、21年(ワールドマスターズゲームズ)が日本にとってのゴールデン・スポーツイヤーズだ。関西で開催するワールドマスターズゲームズは国内から3万人、国外から2万人が参加する過去最大のものになる。
関経連の「関西ビジョン2020」は、2018年6月から第3期、最後の3年間が始まる。だいたいの骨子と、これはやりたいということは決めている。きょうここで話そうと思ったのだが、現在検討・策定中であり、18年の年初ごろには公表の予定だ。
さて、2025年の万博開催を目指しているが、18年3月ごろにデリゲーションがやって来る。いろいろなところでみなさんにお願いしているが、万博誘致に賛同する「会員」の数が大事だ。今は1516万人、これを18年2月ごろまでに目標の40万人にしなければならない。
私も11月にパリに行き、博覧会国際事務局(BIE)総会での日本、そしてほかの3カ国のプレゼンテーションを見た。そこで外国の方に反応を聞いたが、総じて、日本は地道にきっちりとしたプレゼンができていた、SDG s(持続可能な開発目標)を実現するために具体的なことをやっていますねと、日本はきちんとしたコンセプトで進めていることを評価していただいている。
これからは(誘致への機運醸成へ)足でかせぎたい。それぞれの自治体に行って話をしていきたいと思う。(プレスクラブもご協力を)お願いします。
(平間 俊行)

講師略歴(講演時)=1944年兵庫県洲本市生まれ。67年、一橋大学法学部を卒業し、住友電気工業入社。自動車部長、中部支社長、常務、専務を経て、20046月に社長。175月、関西経済連合会の15代会長に就任し、翌6月に同社会長となった。大阪陸上競技協会会長、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会理事も務めている。長い海外勤務経験を生かし、社長として世界展開を強力に推し進め、住友電工グループを海外売上高比率約59%、世界40カ国以上で活躍するグローバル企業へと成長させた。関経連のトップとして、対東京ではなく関西からアジアなど世界へ直接発信する戦略の重要性を強調。2025年国際博覧会(万博)の大阪誘致に向けて精力的に取り組んでいるほか、19年のラグビーW杯、20年の東京五輪・パラリンピック、21年のワールドマスターズゲームズ関西を見据えた展開にも尽力している。学生時代には、やり投げや混成競技の選手として活躍し、インカレでの優勝経験もある。趣味はジョギング。大切にする言葉は、何事にも誠心誠意尽くす人であれとの教えで、住友事業精神の柱の一つである「萬事入精(ばんじにっせい)」。