中之島香雪美術館へプレスツアー 珠玉の村山コレクションを60人が鑑賞

 3月に開館した中之島香雪美術館(大阪市北区)へのプレスツアーを612日に行い、参加した約60人の会員らは、朝日新聞の創業者・村山龍平(りょうへい)氏(18501933)が収集した貴重な美術品の数かずを鑑賞した。
 同美術館は、御影(神戸市)の本館に次ぐ村山氏ゆかりの2番目の美術館。村山コレクションは日本、東アジアの仏教美術に始まり、絵画から武具、茶道具まで幅広さで知られる。
 ツアーではまず、朝日新聞大阪本社内のホールで、中之島香雪美術館館長の臼倉恒介氏から、美術館のなりたちや展示品についての講演を聞いた。村山氏が、明治初期の廃仏毀釈で日本の文化が損なわれていく現実を危惧したことで、コレクションが広がった、などとの臼倉氏の解説に、参加者はうなずいていた。

 この後、参加者は美術館に移動し、開催中の開会記念展第2期「美しき金に 心をよせて」を見学した。展示品は、金箔、金泥など金をつかった屏風、曼荼羅、絵画、蒔絵など約70点。中でも京都・宇治の光景を題材にした長谷川等伯の「柳橋水車図屏風」は、季節の移り変わりを柳の枝葉の描写で表現した名作で、参加者の多くが足を止めて見入っていた。
 また、常設展示の茶室「中之島 玄庵(げんなん)」は、御影にある重要文化財の「玄庵」を忠実に再現しており、参加者は高層ビル内の美術館で、茅葺屋根や土壁の香りを、現地そのままに感じ取っていた。
 開会記念展は、重要文化財19点をはじめ約300点の名品を5期にわけて展示し、来年(2019年)2月まで開かれている。