第4回政治討論会を開催 6党幹部が消費増税、年金問題などを論戦

第4回政治討論会で各党の主張を掲げる(左から)馬場伸幸・日本維新の会幹事長、泉健太・国民民主党政調会長、石田祝稔・公明党政調会長、岸田文雄・自由民主党政調会長、逢坂誠二・立憲民主党政調会長、笠井亮・日本共産党政策委員長

 

 

 関西プレスクラブは7月1日、参院選(7月4日公示、同21日投開票)を前に、与野党6党の政策責任者ら幹部による「政治討論会~関西からこの国のあり方を問う」を大阪商工会議所・国際会議ホール(大阪市中央区)で開催した。
 国政選挙にあわせて開催するもので、今回で4回目。自由民主党の岸田文雄・政務調査会長、公明党の石田祝稔のりとし・政務調査会長、立憲民主党の逢坂誠二・政務調査会長、国民民主党の泉健太・政務調査委会長、日本共産党の笠井あきら・政策委員長、日本維新の会の馬場伸幸・幹事長が参加、社民党は日程の都合が付かず、欠席した。
 消費増税、年金問題、憲法改正、大阪府・市が誘致を目指す統合型リゾート(IR)などが議題となり、激しい論戦を行った。
 新有権者となった高校生、大学生8人も参加。岸田政調会長に若者の政治への関心を高める方策などを直接、質問した。参院選公示を前に、いち早く各党の訴え、論戦を聞くことのできる貴重な機会とあって、会場には、プレスクラブ会員、報道関係者ら約150人が集まった。

 

【各党の主張】

 各党幹部はまず、直筆で書いたフィリップを示し、政策や目標を主張した。
 「令和の時代の日本の姿を選ぶ選挙」を掲げた自民党の岸田文雄・政調会長は「令和の時代になって初の国政選挙。新しい時代をどう切り開くのか、どんな姿をその先に見ているのか、こうした国家像を選んでもらう選挙にしたい」と訴えた。
「小さな声を聴く力」とした公明党の石田祝稔・政調会長は「子どもからお年寄りまで全世代に安心してもらえる全世代型社会保障を実現したい。生活者に寄り添う公明党が連立政権にいるから政治が安定し希望ある社会を実現できる」とした。
 立憲民主党の逢坂誠二・政調会長は「暮らしの安心回復」を掲げ「物価は上がるけれども賃金は上がらず暮らしは苦しくなっているのが実態だ。ポイントは暮らしの所得をあげること。老後の安心を高めること。子育て教育に投資することだ」とした。
 国民民主党の泉健太・政調会長が掲げたのは「家計第一」。「大手企業の収益が上がり物価は上がったのはいいが、GDPの6割を占める消費を高めなければいけない。そのためには児童手当の増額などで家計を応援すべきだ」と訴えた。
「希望と安心の日本を」とした共産党の笠井亮・政策委員長は「安倍政治にさよならをする、そして希望と安心の日本をともに作ろう。憲法9条を生かす平和外交という新しい政治の1歩を踏み出す選挙にしたい」と訴えた。
 日本維新の会の馬場伸幸・幹事長は「増税の前に身を切る改革」を掲げ「7年前に自民、公明、旧民主の三党合意で国会議員の大幅な定数削減をやろうと約束したのに履行されておらず国会議員が身を切る改革を行うべきだ」とした。

【アベノミクスへの評価】

 次に、政治課題となっている7つのテーマについて、各政党幹部に〇✕で回答を求めた。このうち、アベノミクスの成果については100点満点で何点かの採点を求めた。憲法改正、北朝鮮問題などについては、簡単には答えられないと、表裏に〇✕を表示したフリップを縦にして、「△」の姿勢を示す幹部もいた。

7つのテーマは下記の通り。それへの回答の一覧は別表。「大阪都構想の是非」については、山川友基・読売テレビ解説委員が質疑の中で回答を求めた。

①G20で日本は議長国としてリーダーシップを発揮できた
②消費税は予定通り、今年10月に税率10%に上げるべきだ
③安倍総理の任期中に、憲法改正を進めるべきだ
④北朝鮮と前提条件なしに交渉すべきだ
⑤年金問題は今回の選挙の争点だ
⑥カジノを含む統合型リゾート(IR)の開業を急ぐべきだ
⑦アベノミクスの成果について点数をおつけください

【政治課題についての各政党幹部の回答】
 消費増税、憲法改正、年金問題などの7つのテーマについて、各政党幹部にで〇✕回答を求めた。またアベノミクスの成果については採点を求めた。

質問 岸田 石田 逢坂 笠井 馬場
G20
消費増税
憲法改正
北朝鮮
年金問題
IR
都構想
アベノミクス 80 80 30 40 66.6

 

【企画委員会らの質問】

 回答を求めた7つのテーマを中心に、関西プレスクラブ企画委員らが政党幹部に質問を行った。   

 毎日新聞の田畑悦郎委員は、消費増税などの経済政策について聞いた。
 岸田氏は、「一つひとつの数字に振り回されず全体の景気動向を見ながら円滑な導入に向けて努力しなければならない」としたうえで「極端な価格変化が起きないよう様々な対策を予算に盛り込んだ」と主張。逢坂氏は「物価は上がっているが実質賃金は下がっており消費増税は凍結すべきだ。今の所得税制は個人に関しては1億円を超える所得のところから税率が下がり不公平な税制なのでこの点を直すことが先ではないか」と指摘。笠井氏は「安倍総理は増税でいただいた分お返しするだけの十二分な対策を取るというが、もらっておいて全部返すなら最初から取るなというのが庶民の思いだ」と批判した。
 アベノミクスについて80点をつけた石田氏は「これから地方に最も力を入れていかなければならない」と指摘。40点をつけた泉氏は「赤字の一歩手前。失業率が低くなったが待遇は停滞色のまま。政権は家計の可処分所得が4年連続で上がったというが年率換算0.6%で非常に暮らしがきつい。だから家計支援が必要」と訴えた。馬場氏は、アベノミクスの第3の矢の規制緩和ができていないが2本ができているので3分の2で66.6点と説明したうえで「地方については統治機構の改革を行って地方分権を進め、権限と財源を地方に渡し地方が自立してやっていける制度を作ることが大事だ」と訴えた。

 読売新聞の青野達哉委員は、憲法改正、安全保障、外交などについて聞いた。 

 岸田氏は外交について「自国第一主義など力によって物事が決められる国際秩序を感じるが、日本は民主主義や自由貿易など基本的な価値観を大事にしながらデータや環境問題などの国際的なルール作りをリードしていくべきだ」とした。逢坂氏は、北朝鮮問題について「安倍総理は圧力一辺倒できたが米韓中露を見ると対話のステージに入っている。今回日本も対話に切り替えたが、これまで強硬すぎたのではないか。対話に切り替えたことについて国民への説明がほとんどない。日本の状況を見ると蚊帳の外に完全に置かれている」と批判した。
 憲法改正について岸田氏は「議論を進めていくべきだと訴えているが、安倍政権の時代に憲法改正するべきかということについては、どこかで時間を区切る必要はないのではないか」とした。石田氏は「憲法も法的枠組みである以上、全く触っていけないということはない。公明党としては憲法審査会でしっかり議論して合意形成に努めると政権合意の時、文書でまとめており議論は進めていくべきだが、スケジュールありきではない」とした。泉氏は「憲法議論は否定しないし、国民投票法については党の独自案をすでに作っているので早く議論することに前向きだが、わが国において憲法改正が優先事項なのかということもある。国民が求める改憲を行うべきで政治家が進んで提案するというのは甚だ怪しい」と主張した。

日経新聞の堀田昇吾委員長は年金問題、野党統一候補について聞いた。
 年金問題について、石田氏は「老後の生活を支えていく上で、年金は必要条件だが、ある人にとってはそれでは十分ではない。逆に年金だけで十分だという人もいる。老後の生活費が2000万円不足するという報告書は平均ということで出されたものだ。年金の100年安心という制度の話と、人生100年時代といったひとりひとりの人生の問題が混同され、不安に思われているのではないか」と述べた。逢坂氏は「2000万円問題の報告書を受け取らないということでは、わが国の抱える問題への対応策を誤る。あの報告書のモデルで平均といわれる世帯より、もっと苦しい状況で暮らしている人がいる。そういう方々に老後も安心して暮らしてもらえるよう、医療・介護・保育・障害の家計全体への負担に上限額を設ける総合合算制度設けたい」と訴えた。
 野党統一候補について、岸田氏は「野党の政策は外交・安全保障、経済についてもばらばらだ。候補者は整合性のとれた政策を訴えることができるのか、候補者が当選した場合、どういう政治行動をとるのか、疑問だ。われわれは政策全体をみてもらい、整合性、安定性を訴えていきたい」と述べた。
泉氏は「主要課題を含めて、中央、地方で政策合意、政策協定を結びながら進めている。大きな一つの戦線になって戦っているし、国民の皆様にとっても、A対Bという構図はわかりやすいのではないか」と反論した。

 読売テレビの山川友基解説委員はIR問題、大阪都構想について聞いた。
 IR問題について、馬場氏は「大阪の過去10年を振り返ると、実体経済が伸びていた時期はほとんどない。大阪の活性化、関西の成長のためには、大阪、関西の文化、自然といった資源を生かし、観光産業を成長させていく必要がある。そのためには、G20のような大規模な国際会議ができるMICE機能を充実させ、MICE機能のエンジンとしてカジノが必要だ」と主張した。笠井氏は「大阪府、市の報告書によると、カジノ1店で日本人客に年間1600億円の損が出ると試算された。カジノはIRの一部で面積では3%と言われるが、売り上げでは7割に達する。カジノがなければ、IRは成り立たない。ギャンブル依存症の問題もある。カジノより暮らしに希望を、中小企業に支援を訴えていきたい」と述べた。
 大阪都構想について、逢坂氏は「大阪は、自治のかたちはこうあるべしという提案を選挙の争点にした。今までの自治の歴史にないすごいことだ」と述べた。
石田氏は「これから法定協議会が始まる。住民サービスを低下させないことなど、大阪府本部としての考え方も出す。大阪の課題として、真摯な議論をしてもらいたい」と訴えた。

【大学生との質疑応答】

 新有権者となる高校生や大学生8人が参加。若い世代を代表して関西学院大学3年生の村越洋平さんは「若者の政治関心が低く、投票に行かない現状をどうすべきか」と質問した。
 岸田氏は「年金支払いを充実させると、若い皆さんが中心となって負担することになる。財政、経済の問題も、皆さんに直接かかわる問題だ。政治が若い皆さんに、いかに、大きくかかわるものなのか、しっかり説明していかなければならない。皆さんもそういった説明にしっかり耳を傾け、自分の問題として政治、選挙を考えてほしい」と述べた。 

【政党間の質疑】

 締めくくりとして、政党幹部同士の質疑を行った。
 逢坂氏は「老後に2000万円の貯蓄が必要になるという報告書は、ある種の国民の老後の実態を指摘しているものだと思う。これを出発点として、暮らしの安心を回復するための議論をしていくのは大切なことではないか。相変わらず、報告書を受け取らないままでいくのか」と岸田氏に質問した。
 岸田氏は「報告書は莫大な資産を持つ人もそうでない人も、すべて合算して平均を出し、2000万円不足とした。あまりに乱暴な数字の使い方なので、金融庁として、受け取らないという意思を示したものだと思う。これに対して、自民党の中でもいろいろな対応の仕方があったのではないかという議論があったのは事実だ」と答えた。
 岸田氏は「立憲民主党は総合合算制度、農家の戸別所得補償、児童手当などさまざまな取り組みが公約にある。これらの財源はどう考えていくのか。国民民主党は『こども国債』を訴えているが、これは赤字国債とどこが違うのか」と、逢坂氏、泉氏に質問した。
 逢坂氏は「公約に掲げた政策の財源のめどはある。例えば、農家の戸別補償は既存政策の振り替えで実施するとして、既に法案提出した。その他については、税制の累進性を強化することで財源は確実に捻出できる」と答えた。
 泉氏は「わが党の政策で新規で必要なのは3兆円規模。うち2兆円はこども国債を発行したい。こども関連費用は未来への投資だ。国債を出しても待ったなしでやらなければならない状況だ。残る1兆円については、金融所得課税の見直しなど税制改革で対応していく」と答えた。(湯浅 好範、矢野 良知)