コロナ下でのプレスクラブの使命 世界共通の課題解決に向け情報発信 激変する社会の要請に応えた変革も 関西プレスクラブ理事長 扇谷英典

関西プレスクラブ理事長
(産経新聞社常務取締役大阪代表)

扇谷 英典

 大阪で生まれ育ち、弊社では販売畑を歩んでまいりました。1994(平成6)年の関西国際空港の開港を機に、関西の情報発信拠点として発足した当クラブを運営していくことに緊張感を覚えています。
 クラブ発足25周年を迎えた昨年は、G20大阪サミット、ラグビーW杯の開催に加え、百舌鳥・古市古墳群が大阪で初めて世界遺産への登録が決まるなど、大阪・関西はインバウンド効果とともに大いに盛り上がりました。
 平成から令和となって1年余り。新型コロナウイルスの感染拡大で世界の風景が一変しました。街から外国人観光客の姿が消え、会社ではビデオ会議や、テレワークの導入が一気に加速。本社という建物の必要性にも議論が及んでいます。「脱東京」という言葉まで使われるようになりました。
 ウィズコロナの時代を迎え、東京一極集中に変化の兆しが見える中、「脱大阪・関西」にならないために大阪・関西の在り方を問い、当クラブがその存在意義を高める情報発信ができるかが試されているといえます。
 これからの関西での国際的なビッグイベントは、来年の「ワールドマスターズゲームズ2021関西」であり、2025年の「大阪・関西万博」です。とりわけ万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに「世界80億人がアイデアを交換して未来社会を『共創』し、人類共通の課題解決に向けて先端技術などの世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場」を目指しています。
 まさしくこれは「コロナとの共存」という共通の課題解決に向け、全世界が協調しながらワクチンや治療薬を開発し、命を救っていこうと国際社会の結束を呼びかけていくことにもつながります。
 国際社会の結束と同じように国内社会の結束も大切です。新型コロナウイルスの感染拡大によって大阪府が独自の感染対策を打ち出した際、当初は兵庫県や京都府との足並みの悪さが指摘されながらも、3府県の協調によって、首都圏に比べて早く感染者を抑え込むことができました。「関西は一つ一つ」と揶揄されることもありますが、一致団結することも忘れていないことが分かりました。
 関西の大きな強みは、大阪・道修町や神戸医療産業都市、京都大学iPS細胞研究所などに代表される優れた医療技術や医薬品開発力でしょう。2025年の万博に向け、関西が一丸となって世界共通の課題に立ち向かうための地盤固めを行うことが重要で、そのための機運醸成、情報発信といった環境づくりが必要です。
 幸い、当クラブはその関西に拠点を持つ新聞社、通信社、放送局などの報道機関と賛助会員の有力企業、大学などで構成しており、関西から有意義な情報をこれまで以上に発信していくことで、世界に貢献したいと思います。
 先日、万博に出展する大阪府・市のパビリオンの出展テーマが生まれ変わりを意味する「REBORN」(リボーン)に決まりました。発足25年を経た当クラブも次の四半世紀に向け、激変する社会の要請に応えて生まれ変わるべく変革し続けなければなりません。理事長として、微力ながら尽力していきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。