旧日本兵の遺品を遺族に返還 米国の団体OBONソサエティの代表らが会見

 日章旗など戦死した日本人兵士の遺品を、遺族に返還する活動を続けている米国の団体「OBON(おぼん)ソサエティ」(本部・オレゴン州)の代表・レックス・ジークさんと妻で同団体役員の敬子・ジークさん、保管していた遺品を遺族に手渡すために来日したケニア在住の国際法学者・ジャラット・チョプラさんの3人が11月22日、関西プレスクラブで記者会見を行った。

右端から、チョプラさん、レックス・ジークさん、敬子・ジークさん

 チョプラさんが保管していた遺品は、約20枚の写真が収まったアルバムで、OBONソサエティの調査により、記入されていた名前や地元の人たちが集合した写真などから、現在の京都府綾部市出身の兵士のものであることがわかった。兵士は太平洋戦争中、フィリピンで戦死したが、弟3人と妹は今も同市で健在だった。  
 遺族に直接手渡すために、20時間以上をかけてアフリカから日本を訪れたチョプラさんは「遺品が本来あるべき場所に戻ることで、遺族の心が癒されれば大変うれしい。長年遺品を保管していた私自身も、ようやく心をやすめることができます」と、語った。
 
OBONソサエティは2009年に設立され、アメリカの退役軍人やその家族から託された日章旗など戦没者の遺品は900点以上を数える。このうち現在までに約300点を遺族らに返還した。
 
家族や友人らの寄せ書きが入った日章旗は、日本兵一人ひとりが身にまとうなど、極めて個人的な遺品だが、欧米の兵士にとっては、敵軍の国旗を戦利品として持ち帰ることは日常的だったという。「旗」の概念の違いが、多くの日章旗が米国内に保管されている背景にある。
 
チョプラさんの大叔父は、シンガポールで戦死した未帰還兵で、その最後の状況を旧軍の関係者らから調査するうち、日章旗、軍刀、ヘルメットなど日本兵の遺品を次々に託され、保管してきた。返還先を探したが、日本政府を通じてもなかなかわからず、OBONソサエティの協力で今回、一部だが遺族が見つかった。
 
レックス・ジークさんは「アメリカには亡くなった日本兵のことを思い、遺品を返還することによって、過去のわだかまりに終止符を打ち、未来に向け平和と友好を築いていこうと願う退役兵やその家族がたくさんいる。遺品返還によってその心を日本に届けていきたい」と、OBONソサエティの役割を強調した。

大きく引き伸ばした遺品写真のパネルを説明するチョプラさん。手に持つのは写真アルバムを収めた小箱

 

OBONソサエティ メール:contact@obonsociety.org URL:http://obonsociety.org