関西プレスクラブは9月10日、京都市美術館(京都市左京区)で開催していた「ルーヴル美術館展」(読売テレビ、読売新聞など主催)へのプレスツアーを行い、会員ら29人が参加した。
同展は「日常を描く――風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」をテーマに、フランスのルーヴル美術館から、16世紀初頭から19世紀半ばまでの3世紀半にわたる絵画約80点が出展された。中でもフェルメールの「天文学者」(1668年)は初来日となった。
ツアーではまず、京都市美術館学芸員の後藤結美子さんから、美術館隣接の講演室で主要な作品について解説を聞いた。一般市民の日常を描いたこの時代の風俗画の展覧会は、海外では非常に珍しく、後藤さんは「日本で人気を集めれば、フランスでも開催されるかもしれない」と述べた。一般の女性が化粧をする様子を描いた、ティツィアーノの「鏡の前の女」(1515年ごろ)、働く農民を描いたミレーの「箕をふるう男」(1855年ごろ)などをスクリーンに映し出しながら解説した。
とくに、風俗画の代表作といわれるマセイスの「両替商とその妻」(1514年)について後藤さんは、夫婦が貨幣を数える机のテーブルクロスの端の糸のほつれまでが、細密に描かれている点をスクリーンに示して説明。フェルメールの「天文学者」も、描かれた天球儀の製作者や、その横の書物は第2版ということまでわかり、作者は「対象を正確に写し取ることに極端までのこだわりを持っていた」と、指摘した。
この後、参加者らは美術館に移動し、作品の鑑賞を行った。事前に丁寧な解説を受けただけに、参加者らは今、聞いたばかりのことを自分の目で確かめようと、作品の一つひとつを時間をかけて、見て回った。