プレスツアー落合館
大阪・関西万博のパビリオン「null²」でプレスツアー、落合陽一氏が熱狂の記憶語る
大阪・関西万博の閉幕が迫る10月3日夜、関西プレスクラブはシグネチャーパビリオン「null²(ヌルヌル)」のプレスツアーを実施し、田中隆之理事長をはじめ会員ら26人が参加した。一般入場終了後の午後9時すぎから、同パビリオンを手掛けたメディアアーティスト・落合陽一氏(38)が登場し、制作の背景や万博の総括に至るまで、哲学的な視点を交えた濃密なトークを展開した。
鏡面のキューブを積み重ねたような外観と、鏡とLEDによる幻想的な映像展示が特徴の「null²」。AIで生成された自分の“分身”と対話できる体験など、デジタルと現実が交錯する没入型アート空間は、万博の中でも高い人気を誇った。落合氏は「自分の若い時代のエネルギーをすべて投入した」と語り、30代の集大成として位置づける作品となった。
プレスツアーでは、万博の仮設建築物としての制約や、特殊素材を用いた外装膜の技術的課題にも触れつつ、「null²」の一部を恒久的に移設する方針が示された。移設先は関西以外も視野に入れており、「関西の人々が熱狂してくれたものを日本中に届けるのがミッション」と語った。
さらに落合氏は、「何もないところから始まり、何もないところで終わる。更地から始まったものを語り継げるかが大切」と述べ、「万博に訪れた人たちの熱狂を映像に残したい」と、記憶の継承に強い意欲を示した。参加者は、万博の本質に迫るその言葉に深く頷き、閉幕を前にした貴重な時間を共有した。