ジャーナリズムの存在価値 手を携えて示していきたい 丸山 雅也・関西プレスクラブ理事長 

 2年後に創立30周年を迎える関西プレスクラブの理事長に就任いたしました。クラブの活動をさらに活性化していくためには会員のみなさまのご協力が必要です。どうぞよろしくお願いいたします。
 大阪での勤務は社会部デスク、編集局長を務めて以来、今回が3度目となります。編集局長時代、外国人観光客であふれ活気に満ちていた関西の街は、わずか3年後の昨年6月に着任した際にはコロナ禍でその姿をすっかり変えていました。
 ようやくこの春、まん延防止等重点措置も解除され、徐々にイベントや会食の制限も緩和されてきましたが、ここにきて感染拡大の動きもみられます。
 扇谷英典・前理事長は在任期間を通じてコロナ禍の下という厳しい状況でクラブ運営にあたられました。前例もない中、定例会をはじめさまざまな活動のあり方を状況にあわせて見直し、ネットでのライブ中継など新たな手法の導入で関西プレスクラブからの情報発信を途切れさせませんでした。
 新型コロナの感染状況をはじめ先行きはなお不透明な時代が続きます。みなさんと知恵を出し合い乗り切っていきたいと思います。
 さて、大阪・関西万博が3年後に迫ってきました。東京の下町で生まれた私が初めて関西を訪れたのは小学校4年の時、大阪万博でした。外国の文化や外国の人たちに触れた初めての経験は、鮮烈な記憶として今も残っています。
 52年前とは日本、そして世界の状況も異なります。「いのち輝く未来社会のデザイン」という大阪・関西万博のテーマは、ある意味で現代がさまざまな価値観の衝突で未来社会のデザインをしがたい時代であることの裏返しととらえることもできるかもしれません。
 ロシアのウクライナ侵攻は、世界の分断を加速している印象を否めません。経済格差の拡大は、日本国内でも深刻さを増しています。東アジアは不安定さを増しており「火薬庫化」を懸念されています。
 こうした世界状況の中で、大阪・関西万博の意義をどこに見出しどのように伝えていくか。後世からも問われる報道となることでしょう。
 さて、企画委員会のみなさんがぎりぎりまで努力してくださいましたが、今回の参院選を前にした政治討論会は一つの政党の幹部がことごとく都合がつかないとして出席を断ってきたため実現しませんでした。他の党の幹部のみなさんは日程を空けてくれており、会場も確保していただけに本当に残念なことでした。次の国政選挙の際に開催を実現するためにも、関西プレスクラブの存在感、情報発信力を高めていきたいと思います。
 「うめきた」の再開発も進んでいます。外国からの観光客の姿も見られるようになってきました。万博に向けて関西はダイナミックに動き始めています。関西を拠点に活動する私たちからの情報発信の重要性は増しています。  
 一方で新聞やテレビではなく、ネット特にSNSで情報を入手し、それで事足りたとしている人が増えているようです。ジャーナリズムの存在価値を私たちが手を携えて示していくことも必要でしょう。
 ゲストを囲みながら会員のみなさまと共に考える機会を大切にしていきたいと考えています。よろしくお願いいたします。

2022年度総会で就任の挨拶をする丸山雅也理事長(2022年5月19日、ホテルグランヴィア大阪)

丸山 雅也(まるやま・まさや)氏 
1960年9月生まれ。85年東京大学法学部卒、毎日新聞社入社。横浜支局長、東京本社社会部長、東京本社編集編成局次長、大阪本社編集局長、東京本社代表室長、同副代表兼代表室長、執行役員東京本社代表、取締役東京本社代表、同大阪本社代表などを経て2022年4月から現職。