「再生のその先へ ― ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが選んだ共創モデルへの転換 」     第322回定例会 ゲスト ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)シニア・バイス・プレジデント(マーケティング最高責任者) 黒川浩延氏 2026年4月20日開催

USJは本年3月31日に開業25周年を迎え、国内外のテーマパーク市場が大きく変化する中で独自の存在感を築いてきた。国内では東京ディズニーリゾートとの競争が続き、海外ではディズニーやユニバーサル各リゾートの大型投資が進み、世界的に“体験価値の競争”が激化している。黒川氏は、USJがどのように独自戦略で課題を乗り越え、未来志向の価値創造へ踏み出しているのかを、グローバルな視点と現場のリアリティを交えて説明した。

USJは約54ヘクタールの敷地に約50のアトラクション、物販・飲食各約60店舗を備え、従業員は約15,000人である。年間入場者数は約1,600万人に達し、世界テーマパーク入場者数ランキングでは「アジアNo.1・世界第3位」を3年連続で達成している。「毎日4万人が訪れる一つの街」として運営全体をデザインしている点が特徴である。

ブランド戦略では、2012年に「世界最高をお届け」へと刷新し、ハリー・ポッター、スーパー・ニンテンドー・ワールド、2024年12月にオープンしたスーパー・ニンテンドー・ワールドのドンキーコング新エリアの拡張など大型投資を継続してきた。「NO LIMIT」(限界はない)を掲げ、心理的解放を提供するブランドへと進化させ、日本の四季に日本コンテンツを加えた「5シーズン制」により、来園のたびに新体験を提供している。

日本IP(日本発の知的財産)との共創も強みであり、ユニバーサル・クールジャパンでは名探偵コナンや東野圭吾作品などと連携し、世界観を忠実に再現している。2026年はパーク25周年とホラーナイト15周年が重なる“ダブル周年”として、例年以上の規模でイベントを展開する予定である。

組織面では、クルーを「パークの顔」と位置づけ、ブランドブック(ブランドの理念や行動基準をまとめた冊子)で行動基準を共有している。満足度調査でも、クルーの関わりが体験価値に大きく寄与していることが示されている。インバウンド強化では、人気コンテンツ選定、SNS活用、多言語化などで体験ストレスを軽減し、訪日客数・消費額ともにコロナ前を上回る水準に回復している。

パートナー連携は46社に拡大し、外部企業との協働やキャッシュレス導入などで体験価値を向上させている。CSRでは「Love Has No Limit」(愛に限界はない)を掲げ、インクルージョン(誰も排除しない姿勢)や地域連携を推進している。