「『ええもん』を世界に-ミズノ、120年の歩みと未来への提案」第321回定例会 ゲスト 株式会社ミズノ代表取締役社長 水野明人氏 2026年3月12日開催

 

「『ええもん』を世界に——ミズノ、120年の歩みと未来への提案」

第321回定例会 ゲスト:株式会社ミズノ代表取締役社長 水野明人氏(2026年3月12日)
日本のスポーツ産業を切り拓き、世界のアスリートから信頼されるミズノ株式会社は、1906年の創業から一貫して「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という理念を掲げてきた。4月1日には創業120周年を迎える。本講演では、水野明人社長が「『ええもん』を世界に」というテーマのもと、同社の歩みと未来への展望を語った。

ミズノの原点は、創業者・水野利八が京都で見た野球の試合に感動したことに始まる。利八は1906年に「水野兄弟商会」を設立し、道具を売るだけでなくスポーツの楽しさを広めることを使命とした。自ら大会を主催し競技人口を増やすことで市場を創造したほか、「カッターシャツ」などの言葉を広めたマーケティング感覚は、現在も同社のDNAとして受け継がれている。

120年続く企業の根幹には、利八が重んじた「利益の利より道理の利」がある。目先の利益よりも公平性と社会的責任を優先する姿勢は、二代目社長が掲げた「3F(Fair play, Friendship, Fighting spirit)」とともに、現代のパーパス経営の先駆けといえる。

ミズノの強みは、職人の技と最先端技術の融合だ。キャンプ地に職人を派遣し、選手のグラブをその場で修理・製作する活動は、アスリートとの信頼を築いてきた。製品開発では、発熱素材「ブレスサーモ」や、日本刀の製法を応用した軟式バット「JTX1」など革新的な商品を生み出している。2022年開設の研究拠点「ミズノエンジン」では、アスリートの動きを数値化し、技術革新を加速させている。

さらに同社の技術はスポーツの枠を超え、トヨタ「MIRAI」の燃料タンク材料や義足プレート、環境配慮素材の開発など社会インフラへと広がっている。
「良いものを作らなあかん」。水野社長の言葉には、伝統への誇りと挑戦を続ける覚悟が込められていた。120年の先を見据えたミズノの挑戦は、もう始まっている。