プレスツアー 理化学研究所・計算科学研究センター 2026年10月5日開催

科学研究の最前線で活躍している「富岳」

 

関西プレスクラブは10月5日、神戸・ポートアイランドにある理化学研究所計算科学研究センターのプレスツアーを実施した。赤岩勇二副理事長、龍沢正之・朝日新聞大阪本社編集局長ら12人が参加し、今夏運用を開始したスーパーコンピューター「理究(りきゅう)」と「ROQUO(ろっこう)」をはじめとする最先端施設を見学した。参加者は松岡聡センター長らから説明を受けながら、次世代計算科学の最前線に触れた。

計算科学研究センターでは、スーパーコンピューター「京(けい)」が2019年まで稼働し、日本の計算科学研究を支えてきた。その後継機として運用されているのが「富岳(ふがく)」である。富岳は気象予測や防災シミュレーション、創薬、材料開発など幅広い分野で活用されており、新型コロナウイルス禍では飛沫の飛散シミュレーションにも用いられるなど、高い計算能力を発揮してきた。

一方、人工知能(AI)の急速な進歩によって、科学研究の手法は大きな転換期を迎えている。研究者が仮説を立て、実験やシミュレーションを繰り返して結論を導く従来の手法に加え、AIが膨大なデータを解析し、新たな法則や有望な候補を見つけ出す「AI for Science(科学研究のためのAI)」が注目を集めている。

その中核を担うのが、今年運用を開始したスーパーコンピューター「理究」だ。理究には米エヌビディア製GPU(画像処理半導体)1600基が搭載され、AIの学習や推論に関する計算性能で富岳を大きく上回る。富岳が高精度なシミュレーションを得意とするのに対し、理究はAIを活用したデータ解析や予測、新材料や新薬候補の探索を高速化し、研究開発のスピード向上を担う。

さらに、量子コンピューターとの連携を担う新システム「ROQUO」も運用を開始した。富岳や理究、量子コンピューターを高速ネットワークで結び、従来のスーパーコンピューターだけでは難しかった新たな計算領域の開拓を目指している。

松岡センター長は「世界はAIで科学する時代に入った。勝敗は『研究の速さ』で決まる」と強調した。現在、富岳、理究、ROQUO、さらに量子コンピューターを一体的に活用する世界でも先進的な研究環境の整備が進んでいる。理究とROQUOで培われる技術は、2030年ごろの稼働を目指す次世代スーパーコンピューター「富岳NEXT」に引き継がれる予定で、日本が次世代の計算科学競争をリードするための重要な一歩として注目されている。

 

「富岳」の前で写真撮影を行うプレスツアーの参加者ら

新たに導入された「理究」

 

 

 

 

 

 

松岡聡センター長