追手門学院大学は創立60周年を迎え、9月9日に大阪府茨木市の茨木総持寺キャンパスで記念講演会とシンポジウムを開催した。式典では、大学が掲げる「AIと共創する学び」の方針と具体的な取り組みが示された。
冒頭の挨拶で田口順一理事長は、創立から現在に至るキャンパスの変遷や、初の理系学部となる理工学部の新設をはじめとする学部構成の拡充について紹介した。続いて真銅正宏学長は、分離融合の総合大学を進める中で、この10年を「飛躍の10年」と位置づけ、AIを禁止するのではなく、学生がAIと共存し学びを高度化するツールとして活用する方針を明確にしたと述べた。入学手続きから授業の時間割確認、休講通知、出席登録まで、学生生活に必要な機能を集約した公式アプリ「OIDAIアプリ」を開発し、学生の大学生活を支える基盤としていることも紹介された。
さらに金政祐司副学長は「AI時代における新教育方針」を発表。開学以来の教育理念である「独立自彊・社会有為」(独り立ちし、他者に惑わされず強く生きる人物を育成する)のもと、「しなやかで研ぎ澄まされた総合的人間知性を育む」という新たな教育方針を掲げた。
記念講演会では、追手門学院大学出身で日本科学未来館館長・IBMフェローの浅川智恵子氏が基調講演を行った。子どものころに全盲となり、「情報」と「移動」の不自由さを克服する研究に取り組んできた浅川氏は、視覚障害者向けナビゲーションロボット「AIスーツケース」の研究開発と、大阪・関西万博での実証実験について紹介。「大人になったら遠いところでもAIスーツケースと一緒に気楽に行けたらいい」と語った視覚障害の少年の声を紹介し、誰もが安心して歩ける社会の実現を目指す思いを語った。
シンポジウムでは、AIを日常的に活用する学生6人が登壇し、「AIは道徳を越えられるか」「自分の経験をAI時代の強みにするには」などの問いを投げかけ、金政副学長らパネリストと意見交換を行った。