「助かった命を救う」被災者支援は民間企業に委託すべきだ

講演の模様をYoutubeにアップしました。

第291回 2023年3月15日
大阪公立大学大学院准教授
菅野 拓すがの たく 氏 
「南海トラフ地震と災害ケースマネジメント」

 地震など大規模災害の復興政策を研究する大阪公立大の菅野拓准教授が、関西プレスクラブの定例会で講演、避難所運営などの被災者支援について「自治体が担っているが、素人仕事になっている。物流や流通大手などノウハウを持つ民間企業に委託すべきだ」と強調した。
 菅野氏は冒頭、将来的に南海トラフ巨大地震が発生した場合、津波に巻き込まれなくてもその後の体調悪化など「災害関連死」だけで7万人を超えるとの試算を紹介。「『救えた命』ともいわれる。生き残った人を適切に支援する枠組みになっていないのが災害対策の問題点」と指摘した。
 被災者支援は、国と協議して自治体がやることになっているが、「一生に一度やるかどうか。物資の運搬や避難所の運営に慣れていない人たちがやっているので、戦前の避難所から進歩していない」と解説した。
 平時は、企業が手掛ける食料や生活用品、住環境のサービスを、災害時のみ慣れない政府・自治体に任せているのが混乱を生む最大の原因とし、「民間業者にどうやって参入してもらうかを考えるのが災害ケースマネジメントの肝だ」と語った。(藤原 章裕)