事務局発47号

恒例の関西プレスクラブが選ぶ10大ニュース。2017年の国内ニュースのトップは「衆院総選挙で自民圧勝・野党再編」でした。この重大な出来事に関し、皆さまに謝らなければなりません。プレスクラブは衆・参院選の公示直前に各政党の幹事長らを迎えた政治討論会を過去3回連続して開いてきましたが、今回の衆院選(1010日公示、22日投票)で開催できなかったことです日本記者クラブが公示前日に行う「党首討論会」と、関西プレスクラブの政治討論会はここ数年定着し、新聞、テレビ、ネットを通じ、その模様が全国に発信される最重要行事です。実現できなかったことは関西プレスクラブの存在意義が問われるものです◆初動は遅くありませんでした。一部テレビが衆院解散の可能性を流したのは916日(土)夕刻。新聞各紙は翌17日(日)付朝刊で「928日解散」を伝えました。プレスクラブ企画委員は連絡を取り合い、討論会の開催を確認。連休明けには担当委員が集まり、討論会開催日を107日とし、直ちに幹部の出席を各党に申し入れましたしかし、政局は大混迷。小池百合子氏が希望の党を結成し、927日午前に共同記者会見、午後には民進党が希望の党に「合流」とのニュースが流れ、この夜、自民党から「近来にない短期決戦。二階幹事長は東京を離れられない」との返答が届きました◆主役不在では討論会が成立しません。岸田政調会長らに出席をあらためて要請しましたが、同様の理由で不調に終わり、討論会開催を見送る結果となりました。こうした政局だからこそ、政党幹部のナマの声を聞く討論会の開催が必要だったと、数か月経った今でも悔しい思いが消えません◆ただ、勇気づけられた点もあります。他政党との交渉は順調で、共産党の小池書記局長、維新の会の馬場幹事長ら主要な野党幹部の調整を済ませ、公明党からも自民が決まれば日程を抑えるとの確約を得ました。国政政党の間に、関西で開く政治討論会は浸透しているとの感触をつかめました◆また、各党との交渉を通じ激動の政局に密着した経験は貴重でした。実感したのは自民党の尋常でない危機感と、小池氏周辺の緩さです◆希望には選対などなく、連絡は小池事務所とのファクスでのやりとり。「辞退したい」との回答が入り、自民と同じく関西に幹部を出す余裕がないのかと思った直後、小池氏が突如、大阪を訪れ「三都物語」の記者会見です。これが小池流と、あきれる前に感心しました。しかし、楽勝ムードが覚めず、奇策頼りの実情は、野党の悲惨な再編を関西にいても予測させました◆次の国政選挙は参院選が2019年夏に必ずやってきます。今回の例の様に政治の一寸先は闇。それまで100%選挙がないとはいえません。次回に備え、深い反省と小さな自信をもとに、皆さまのご協力で各政党等との関係を太くし、より頼られる関西プレスクラブになれればと思います。
(田中 伸明)