外国人観光客の93%がもう一度 大阪を訪れたいと答えている 59%の北海道よりうんと高い

231回 20151019

大阪観光局理事長(大阪観光局長)
溝畑 宏 氏
「関西・大阪を元気に!」

  生まれは、京都。高校までを過ごした。子どもの頃から歴史に残ることをやりたい、次の世代に評価されることをやりたい、と思っていた。苦しければ、苦しいほど燃える、そんな男です。
 36年振りに故郷に戻って来た理由は、関西をよくしたいという思いからだ。自治省から大分県に出向したときに大分県から世界を目指すと決めた。そして、2002年、サッカーワールドカップの誘致に成功し、初め誰にも相手にされなかった立命館アジア大の設立にこぎつけた。
„地方は人口が少ない"と言い訳する暇があったら戦えと、愚痴を吐いている暇あれば、汗をかけ、と言ってきた。
 梅田、大阪駅の乗降客は一日、約200万人、とても多い。関西は、豊富な文化資源がある。24時間空港の関空がある。この資源を活かし関西を元気にしなくてはならない。
 観光とは、地域の総合戦略産業だと思う。町に魅力があり、住人が、幸せを感じるこが大前提だ。魅力的な町づくりが大切。住人を幸せにする仕事と観光産業を広くとらえることだ。
 観光は、想像以上に裾野が広い。北海道のニセコは人口5000人足らず。その町に年間250万人の観光客が来て、100万人が宿泊し、そのうち2割は外国人観光客だ。
 なぜ成功したのか。それは、町が危機感を共有したことだった。観光客を集めるため役所に4人の外国人を採用した。中高生が、街に英語の看板を作り、厳しく挨拶を指導した。世界に誇れる観光地を目指して町全体が、一体となり取り組んだ結果だ。
 外国人が、観光に来て使う額は、日本は世界で17位、アジアの中でも8位、GDPの貢献度は、30国中、最下位だ。まだまだ、伸びる余地はある。一体、何が足りないのか。それはナイトエンターテイメント"だ。日本は、夜の消費がガクッと落ちる。
 消費の時間軸を増やす。そして、大阪市以外の例えば、東大阪市や岸和田市などに広がる観光ルートを作ることだ。
 大阪は、モノ作り、医療、文化のクオリティーが極めて高い。
 外国人観光客の訪問先は、1位が東京、次いで富士山、北海道、京都。大阪は5位だが、93%の観光客がもう一度、大阪を訪れたいと答えている。北海道は59%だ。大阪への満足度は、高い。そこで、どうやって観光客を増やすのか。まず、関空入管の待ち時間を削減することだ。
 そして無料wi-fiの整備強化、さらに、ホテルが取れない深刻な問題を解決するためにホテルの誘致は、急務だ。観光バスの問題、駐車場の問題、解決すべきことは沢山ある。
 大阪は、2019年にラグビーワールドカップが開かれる。ラグビーの聖地、花園を訪れたい人は一杯いる。2021年には、アジアでは初めてとなるワールドマスターズゲームズがある。
 この時期、必ず外国人観光客が増える。これを取り込むため、ⅠR(統合型リゾート)の整備が必要だ。
 カジノと巨大展示場、1万人が収容できる会議場を作る。そして、IRを是非、実現してもらいたい。
 反対意見も耳に入れて努力して、大きな方向性に向かう。しかも、スピード感を持って一気にやる。大阪万博の時の輝きを取り戻し、関西全体を良くするため大阪が、リード役を果たして欲しい。(奥田 雅治)

 講師略歴(講演時)=1960年京都府生まれ。東京大学法学部卒、自治省(現・総務省)入省後、90年自治省係長から大分県庁に出向。大分県総務部財政課長、企画文化部長などを歴任し、大分フットボールクラブを設立。2002W杯サッカー招致や立命館アジア太平洋大学の設立に尽力した。Jリーグ大分トリニータの運営会社「大分トリニータ」代表取締役社長も務め、0811月には、チームがJリーグナビスコカップで優勝。2010年から2年間、国土交通省の2代目観光庁長官を務め、2012年からは内閣官房参与として成長戦略、観光を担当した。今年4月、大阪観光局理事長(大阪観光局長)に就任。現在、富山県高岡市はじめ全国13の自治体の政策顧問、アドバイザーも務めており、官僚、民間、地方での経験から「複眼」で物事を見られるのが最大の強み。一般社団法人クールジャパン協議会特別顧問、日本忍者協議会副会長、東京ガールズコレクション実行委員会アドバイザーなどの多彩な役職にも就いている。座右の銘は「七転び八起き」。「夢をもってやろうとしたら最後まで貫き通すのが自らのポリシー」。著書に「溝畑流・日本列島観光論 逆転こそNippon!」(講談社)